雨の日も晴れの日も、僕ら。

日々のあれこれを綴りながら、楽しく生きたい。 

『 恭一くん。』

 

『 恭一くん。』

 

 

小さな嘘をついた。

 

だって、カナコが悪いと思う。

恭一くんを大事にしてないから。

 

デートで1円もお金出さないし

自分で買ったもの全部持たせるし

 

雨が降っても猛暑でも

全部、恭一くんのせいにする。

 

付き合い始めたばかりのころ

恭一くんは

カナコの話をするとき

すごくうれしそうで

 

もっといろんなところに

一緒に行きたいって

笑ってたのに

 

今日会ったら

なんだかすべてに疲れたように

ぼーっとしてた。

 

昨日はデートだったの?って

聞いたら

「うん、まあ。」

で終わり。

 

アイスカプチーノのストローを

ぐるぐる回しながら

「暑いね」と「甘い」しか言ってない。

 

「カナコチャンって、ほんとに

 恭一くんのこと好きなのかな?

 ぼくだったら好きなヒトには

 もっと優しくしたいけど

 カナコチャンは意地悪ばっかじゃん。」

 

「そんなことないよ。加奈子は優しいよ。」

 

「具体的には?」

 

「えっと、オレの服選んでくれるし

 オレの行きたいところでいいって言ってくれるし

  オレの・・・・・・。」

 

「なに?」

 

「加奈子はオレに興味ないのかな。

 ただの暇つぶしなのかなぁ・・。」

 

 「さあ・・。でも・・

 他にも好きなヒトいるらしいよ。」

 

嘘が口から勝手に出た。

 

恭一くんの気持ちが一瞬揺らいだのをみて

別れればいいのにっていう気持ちが

急に溢れた感じ。

 

「え?何それ?誰に聞いたの?」

 

「うーん、忘れた。」

 

「相手は?どんなやつ?」

 

「さー、知らない。」

 

「なあ、オレには何が足りないと思う?

 もっとどうなったら加奈子が

 オレだけを見てくれると思う?」

 

なんだこれ。

逆に火をつけたみたい・・。

 

「なあ、マコト、一緒に考えてくれよ。

 オレ、もっと加奈子にふさわしいオトコに

 なりたいんだよね。」

 

「『カナコにふさわしいオトコ』って・・・、」

 

『カナコのオトコ』

ふいに恭一くんのことが

なんだかキモチワルイものに思えた。

 

「もう行くね。バイトあるし。

 いいよ、恭一くんはそのままで。

 ぼくはすきだよ。」

 

恭一くんはグラスのなかをみつめながら

小さくありがとうって言って

まだストローをぐるぐるしてた。

 

あーあ、さらっとこくってみたけど

さらっと流された。

 

店を出てバイト先に向かって歩いてたら

ミッチに会った。

 

「これからバイト?」

 

「うん、ミッチは?

 なんかうれしそうじゃない?」

 

「わかる?

 実はさ、食事の約束取り付けた。」

 

「ほんと?あのヒト?」

 

「ああ。また報告するよ。じゃ。」

 

いいなミッチは。

気になるヒトと進展があったらしい。

 

ミッチのうれしそうな顔を見たら

ちょっと元気出た。

恭一くんの憂鬱を

気付かないうちにもらってたみたい。

 

ほこりをはらうように両方の肩を

手のひらで順にはらった。

いやなものは落としたい。

 

ぼくは洋服は自分で選びたいし

ふたりで行き先を決めたいし

しゃべって笑っておなかいっぱいに

なりたい。

 

恭一くんの言う

『カナコにふさわしいオトコ』

がなんだかわからないし

知りたくもない。

 

ぼくだったらもっと

恭一くんを楽しくさせるのに。

 

あんなストローぐるぐるさせないのに。

 

でもさ

それならさっきだって

そうできたはず。

 

でも実際はストローぐるぐる・・・。

あーあ、すきってなんだろう。

 

『カナコのオトコ』になりたい恭一くんのことは

全然すきじゃない。

 

 

 

バイトが終わって帰り道に

コンビニで買い物してたら

LINEが鳴った。

カナコだ・・。

 

「好きなひとってなんのこと?」

 

え、恭一くん

カナコに聞いちゃったんだ・・。

 

「ごめん、あとで気付いたんだけど

 他の子の話と勘違いしてた。

 謝る、ごめんね・・。」

 

「ふーん。わかった。いいよ。」

 

嘘つくとか慣れてないから

変な汗出た・・。

 

でも、カナコも意外と恭一くんのこと

ちゃんと好きなのかもね。

それなら、ぼくだって応援しようという気はある。

 

「加奈子ちゃん

 恭一くんとずっと仲良くしてね。

 ぼくの分までだよ。」

 

 

送ってすぐ既読が付いたのに

なかなか返事が来ない。

 

買い物が終わって家に帰り

ミネラルウォーターのペットボトルを

冷蔵庫にしまってたら、やっと来た。

 

「前から聞こうと思ってたけど

 誠くん

 恭一のこと好きなの?」

 

へぇ、恭一くんは気付かないけど

カナコは気付いてたんだ・・。

 

「うん。

 でも、もう好きじゃないよ。

 2人には仲良くして欲しいと思ってる。

 ぼくは友だちのままがいい。

 ぼくの気持ちは、恭一くんにはナイショね・・。」 

 

「わかった。

 カナは誠くんのこと、ライバルかなって思って

 ちょっといやだった。ゴメン・・。

 でも、これからは仲良くしたい。

 トモダチになりたい。」

 

「うん。

 ぼくも加奈子ちゃん苦手って思ってた。

 ごめん・・。

 恭一くんがまた笑うようになったら

 3人で遊んでもいいかも。」

 

そう打ちながら

ぼくは急に悲しくなって涙が溢れた。

 

なんで?

ぼくなら今すぐだって

恭一くんを笑わせられる。

 

ただし、恭一くんがぼくのこと

すきだったらね・・。

 

なんで、ぼくをすきじゃないんだろう。

カナコと出会う前は

2人で結構、あちこち行ったし

2人でいっぱい笑ったよね・・。

 

なんかやっぱり

あきらめるとかいやだ。

 

ぼくは通話ボタンを押した。

数秒後

 

「誠くん?」

 

「カナコちゃん。

 やっぱりぼくも

 まだ、恭一くんがすきだわ。

 1回、すきって言ってみてもいい?」

 

「うん・・・いいよ。」

 

カナコちゃんは少し間を置いてから

そう言ってくれた。

 

「じゃあ、今から電話で言うから。

 ごめんね、ばいばい。」

 

カナコちゃんとの通話を切って

恭一くんとの通話ボタンを押した。

 

左手のスマホを耳に、右手を胸に当てて待つ。

超ドキドキする・・。

 

「もしもし。」

 

「あ、恭一くん、今いい?」

 

「うん。なに?」

 

「あのさ、ぼくさ

 恭一くんには、いつも笑っていてほしい。

 恭一くんのこと、すごくすきだよ。」

 

あーあ、言っちゃった。

 

f:id:Emily-Ryu:20180921215930j:plain

 

 

 

 

Emilyさんには「小さな嘘をついた」で始まり、「あーあ、言っちゃった」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば7ツイート(980字)以上でお願いします。
#書き出しと終わり
https://shindanmaker.com/801664